空



第一話 走り出したとき。

 明日、いや今日の午後、しるぞうをドリフト兄ちゃんに渡します。
かなり悩んだけど、もう書いてしまおう、彼のメールのハンドルネームが

「ただし@攻走乱舞 」

と書いてありまして、、、

末尾の完成度の高い四字熟語があんまりにも気になったので、
グーグルで検索してみたところ、
予想通り、彼のホームページを発見しました。

なんと彼は、走り屋チーム、「攻走乱舞」のリーダーだったのです!
峠の兄ちゃんだから、きっとそれなりのいい感じなんだろーなーと
思っていたら、期待をうらぎらないこのすごさ、先ずはご覧あれ。

http://www.tosp.co.jp/i.asp?i=r32kousou

私のシルビアは一体どうなってしまうのでしょう、、、

とっても不安、いえ楽しみです。
値切られたら断ってしまいそう、、、

ボンネットのカッティングはともかくも、
フロントウインドウの横に走ったステッカーはどうか許してください、、

でも、彼は18歳でチームを作ってしかもホームページまで持っている。
でもって、チームのメンバーも何人もいるわけで、毎日のように
走っているらしい。

自分が18の頃、、、、

それはまだ私のお腹が仮面ライダーのように六つに割れていた頃、、、


南野陽子の誕生日と同じ日に免許をとった私は、わずかな貯金20万円を
はたいてマイカーを買った。
アルバイトをしていい車を買おうとは微塵も思わなかった。
元来、仕事とお金はどちらもきらいな性質だった。
この性格はやがて私の人生を痛々しい方へと追いやっていく。

とにかく早くデートに、ドライブに使う車が欲しかった。
親に相談することも無く、今もある、三重マイカー情報で
貯金の範囲で購入できる数少ない車の中から
「三菱ミラージュGT、カセット付、エアコンなし、柿色」を
選択して購入した。
今にして思えば、この最初の車が私の人生の大部分を決定したような。
何しろGT!でも当時GTの意味も知らなかった私。
そして因縁の三菱。超お目立ち郵便ポストと同じ色。

この車をかったとき、その店の若いメカの兄ちゃんが、
興味深げに「なんで、この車を買うの?」と聞いてきたのを覚えている。
同じ店に、排気量の小さい、でもターボ付、黒のエアコン付が
あったのだ、しかも同じ値段で。

私は即座に回答した。

「こっちはカセットがついてますから。」

そう、あの当時の私には、デートをするためにカセットプレーヤーは
絶対必要条件だったのだ。
たとえ色がみかん色で、エアコンが無くっても。
ターボが何かも知らなかった、うぶな私。
当時実家に車の無かった私に、カセットデッキ(それもモノラル)と
カーエアコンのプライスが10倍くらい違うことは知る由も無かった。
また、今にして思えばあの整備のあんちゃんは、きっと
「いや、ラリーをやるんで、、、」なんて答えを
期待していたような気がする。走り屋っぽかったし。

まあ、そうして私は買ったときからドライブシャフトが
ごろごろ言うこの車を、大層気に入って、毎日乗り回した。
(車屋の親父は、FF車はこんなもんだと言っていた。すごい奴だ。)
私がハンドルを切るところではいつも雷がなっていた。
ごろごろごろごろごろ、、、、


そしてこの頃、自動車部にすでに入部していた私。

私が自動車部に期待していたのは、「車で旅に出る」ことだった。
でも入部した自動車部は、道路であれば土だろうがアスファルトだろうが
おかまいなしで暴走したがる狂気の暴走集団だった、、、

そんな事情など全くしらない自動車学校をでたての私は
Y先輩の真四角の真っ赤な三菱車の助手席に乗せられて、
「不思議な金属音のするエンジンですね」
「ものすごく早い車ですね」
「ホーンボタンが三菱マークで扇風機みたいですね」
(当時私の家の扇風機が三菱製。真中に三菱マークがあった)
などとすっとぼけたことを話して失笑を買いながら、
深夜の県道を○取山へと連れ去られていったのでした、、、

続編へ続きます。


あの頃☆サウンド @ レベッカ 「フレンズ」

→このY先輩のランサーターボの助手席で聞いたこの曲の
なんとかっこよかったことか、、、
当時アップビートのアルバムは少なく、邦楽では
走り屋に最も愛された一曲。

あの頃☆マシーン @ 三菱 ミラージュ GT 昭和56年式

4速×2モードの、トラックのようなシフトを持つ。
エンジンはシリウスG32B1600CC。
シングルカムだが、とてもよく回った。
というより、ピックアップだけが命だった。
3ドアハッチバックの車って、あの頃から今まで、いろんな意味で
それほど進歩していないような気がするんだけど。
当時国内ラリーでは山内伸也がこいつで優勝したこともあるらしい。
後に知った。当時は知る由も無し、、、デート車だったので。


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