| 戦艦大痛の最期 
  
 <プロローグ>
 08年10月、全日本ハイランドマスターズ初出場。舗装化は想定外であったものの、
 NRSパルサーを抑えてオープンクラスでうっかり優勝してしまった。平成5年式走行不明の腰下
 +平成8年式のマニ+リストリクター+ 無セッティングCPU=200馬力も出てるのか?
 タイヤは全て中古品。ショックは借り物・・・
 全国のスバルファンの方ごめんなさい、みたいな低性能の大痛。でもやっぱりもっと走りたい・・・
 今年の予算は底を尽き、もう粉も出ない状況でも、車と残りタイヤが惜しい気になってきた。
 かねてから、ドラは土系なので、あこがれはハイランドマスターズ。ナビは豊橋在住なので
 あこがれは新城ラリー。ここはナビとナビの家族にラリーを見てもらう最初で最後かもしれない、と
 出撃を決心。ドラ、ナビとも、最大のスポンサー嫁様から資金貸与を受けて申し込んだのだった。
 
 <11月8日 DART会長とスタッフオン会長との秘密会談、行われる。>
 艦長「バニー氏、本当に新城出るんですか?」
 バニー氏「はい。ばれてしまいましたね。
 今回も見当山の賞品、ハルヒのフィギアでも賭けましょうか?」
 艦長「そりゃ、願ったりですが、負けたとき、私は何を用意したら・・・」
 レビア「ハルヒのコスプレで4月の見当山走ってくださいよ。」
 バニー氏「ああ、じゃあそれで。」
 艦長「!!!」
 
 そして・・・ (掲示板過去ログより)
 司令官「喜べ。練習用タイヤを司令部から供出しよう。」
 艦長「おお、それはありがたいです。」
 司令官「ヨコハマのバリ山だぞ。車両申告書のタイヤ欄の、ウエット用に登録もしておいた。」
 艦長「ありがとうございます。それにしてもよくそんな予算・・」
 タイヤ銘柄 ガーデックス サイズ 215-60-15 ヤフーオークション 落札価格 4本100円
 
 ガクガクブルブル
 艦長「司令官閣下、これで受理されるとお思いで?」司令官「いや、だから、ウエット用だし。ドライ用は、ちゃんと048で申請しているし。」
 艦長「雨ならこれで逝けと?」
 司令官「しっかり頼む。」 (以上、過去ログより)
 
 艦長「新城のコースはもちろん初めてですが、相当スリッピーと聞いております。
 いつもは進入で姿勢を崩し、アクセルで引っ張る走らせ方ですが、Sタイヤ+カチカチ足の
 大痛の現状ではテールのグリップが勝ちすぎて難しく、アンダーでコースオフ必至です。
 反面、 進入で無理をしない走らせ方ではバニー氏のマシンに対して
 立ち上がりが遅すぎて勝機はありません。いかが戦いますか?」
 
 司令官「いつになく真面目な質問だな。参考になるかどうか、今回のサービスだが、予算の都合で、
 つな+キルドレのコンビ2名だ。宿泊は全員ナビ宅。ナンヤ夫婦から支援の申し出を頂いたが、
 今回は観戦をお誘いした。ところで喜べ。 」
 艦長「?」
 司令官「ナンヤ夫婦友人ナカネ様から4トンレッカーユニック付きを用意頂けた。
 リタイア前に積車が手配されたのは、 スタッフオン始まって以来の事。ユニックまで
 付いているから、50メーターくらいなら拾ってやる。これで、安んじて逝け。」
 
 <11月20日木曜日 出撃前日>
 つなぞうより入電。「仕事ハイッタ。イカレヌ。スマソ。」
 取引先より入電。「今日中に契約キボンヌ。デモ、ヨルニ。」
 ルマソよりも入電。「夕方以降、自賠責ヲ用意サレタシ。」
 こうして大痛は、出航直前にサービス隊を喪失した上、前日喪失したレキ用ビデオカメラの購入等、
 想定外の準備作業に追われる事に。つなぞうに預けてあったタイヤを回収し、
 サービス車両を選定、結局鈍足バッテリーあがり駆逐艦「ジムシー」の出航準備となり、
 多忙を極めた。午後8時にイッシー宅着予定が、長太城出航2200。
 とうとう洗車すら出来ないままイッシー宅(豊橋)へ。
 
 <11月21日金曜日 レキ>
 朝、バニー氏に会い、サービス隊がジムシー+キルドレだけになった為、万一の際と、
 留守中のキルドレの事を御願いする。受付けで、「バニー氏との勝負、がんばってくださいね。」と
 声をかけられて、心臓が1秒止る。
 早朝、―2度の気温の中、 本宮山スカイラインや雁峰などをまわっていく。
 恐れていた通り、雁峰は苔と落ち葉、出水と低路面温度で最悪のコンディション。
 各SSを2回ずつ、ご案内によれば、「ノーマルタイヤでゆっくり」となっていたはずだが、
 今回初のコースとなった、本宮山スカイライン以外は、ほとんどの方が一回目から、全開。
 初参加の大痛は、一回目であおられまくり、あげくホーン攻撃まで受ける。
 頭にきて、二回目はカチカチ02年生スタッドレスで、全コーナースキール音全開にして
 しっかり「ノート確認」させて頂く。
 後に、レキ参加車両のほとんどがSタイヤ装着だったのに、驚愕。
 車検、開会式、イベントと全て終った後、キルドレ到着、ようやく小さいテントを設営、豊橋へ帰還。
 夜、ナンヤさんから来電、急遽サービス支援を頂く事が決定する。(歓喜!)
 
 <11月22日土曜日>
 朝、イッシーナビの家族と共に会場入り。すでにギャラリーの方がうようよ。盛り上がっている中、
 ナンヤ号到着。急いでサービス設営。
 程なく、スタート。ハイランドで幾分慣れていたが、それでもあまりの人の多さに驚く。
 
 <SS1雁峰13キロ>
 艦長「初めて、ナビの家族も応援に来ているし、
 どうあってもSS3のギャラリーステージまでは行かねばならない。
 ここは徹底的にガマンして、安全航行で行こう。」
 副長「いつになく、真面目な姿勢ですね。バニー氏との勝負は?」
 艦長「一回ギャラステに姿を見せれば、二回目が無くても仕方あるまい。
 勝負は路面温度の上がる、SS4からだ。」
 副長「了解。」
 
 こうして、かつて無いくらい慎重に、SS1を完走。それでも2度落ちかける。
 ペースはスタッドレスのレキ二回目の方が速かった。
 
 <SS2本宮山スカイライン5キロ弱>
 艦長「ハイランド以来、好きになった高速セクションだが、200馬力程度の本艦では厳しいだろう。」
 副長「行きましょう。」
 
 ゴール後、バニー氏と情報交換。
 SS1 25秒負け。約キロ2秒。
 SS2 9秒勝ち。約キロ2秒。
 都合、16秒遅れ。バニー氏はSS2で左前ホイールを小破と聞く。
 
 <SS3ギャラステ約3キロ>
 艦長「一回目は、完走だ。」
 副長「スタート。・・・レフト4」
 艦長「あ、意外とグリップする・・ではギャラリーコーナーはブレーキドリフトで行くぜ!」
 副長「ライト4-3」
 艦長「よし、一発目の4で、強めにブレーキを・・て、
 誰?こんなとこに落ち葉を撒いた人!!」
 (大痛、ブレーキロックアンダーで、アウト側ギャラリー前側溝へと突入モード)
 副長「ああっ、やばいです!」
 艦長「面舵一杯、アクセル全開。回避!総員衝撃対応!」(この間、0.5秒)
 副長「姿勢復旧。持ちました。ノート、続いてレフト6」
 
 こんな失敗をしつつ、ゴール。ガスコンへ。バニー氏と情報交換。ここでは1秒負けですんだ。
 ともあれ、お互いに会話を交わす。
 「4月にまた(ジムカーナで)競争するし、お互い壊さないように、安全運転でねぇ〜」
 そりゃそうです。本当は戦いたくないんだ。でも、父さんが・・・
 
 <一回目のサービスにて>
 艦長「二回目のラウンド(SS4-6は、SS1-3と同一)は、全開で行く。バニー氏は
 予想よりはるかに近い射程距離。ここで追い越す。アンダー対策で、
 サスが調整出来ない以上、タイヤでやる。フロント2.0 リア2.2の現状から、
 リアのみ、2.6へ。これで雁峰でテールを流して踏めるようにする。 」
 副長「本宮山は?」
 艦長「もう慣れたから、こんどは余裕でドリフト大会にしてやるぜ!」
 
 <SS4雁峰 2回目>
 艦長(スタートまでの占有区間内、新しい空気圧設定を試す。)
 「いけている!格段に速くなったろう。」
 副長「ホント、これはキロ2秒どころじゃないね。」
 艦長「行くぜ、バニー氏!」
 副長 「スタート、ストレート200、レフト3」
 艦長「?アクセルのツキが悪い。なんだ?」
 機関長「艦長、エンジン出力、低下中。現在70%!」
 艦長「副長は、ノート継続。機関長、ブーストは?」
 機関長「1.0.正常値です。」
 艦長「戦闘続行。目標、バニー氏セイバー号。」
 副長「艦長、異常音発生中。これは?あ、ノートロスト!」
 艦長「副長、かまうな。ノートに集中。現在距離確認。復旧せよ!機関長、水温確認。」
 機関長「水温、異常無し。車体震動、異常音発生中!」
 艦長「機関長、DCデフロック解除、音源を特定せよ。」
 機関長「デフ、ミッション異常無し。エンジンです!異常打突音、増大中!」
 艦長「副長、エンジン出力低下。残念だが、これまでのようだ。」
 機関長「エンジンルーム、排気口より白煙!機関出力30%!」
 艦長「副長、戦闘中止。路肩のスペースを探して停止する。」
 
 数秒後、左舷路肩に乗り上げた直後、機関停止。艦は白煙につつまれた。
 
 艦長「三角停止版用意。副長、サインはSOSではなくて、OKだ。落ち着いて。」
 
 午後1320、リタイア届け、受理。
 この後、追い上げオフィシャルの方に、雁峰出口まで送ってもらい、別のオフィシャルさんに、
 拾ってサービス会場まで送っていただけるはずだったが、行き違いらしく、1.5時間放置される。
 止む無く、サービスに救援依頼。 2時間後、身体凍結して地蔵となった状態で救助される。
 
 こうして、長かった大痛の戦闘航海は、突然の終わりを告げた。
 あまりの消化不良、不完全燃焼に、ドラ、ナビ、ともに、しばし放心。
 そして、現実が次々と脳裏によぎる。
 イトちゃんから、エンジンも買わないと・・・ また、ハルヒのフィギアはもらえなかったな・・・
 て、俺、ハルヒのコスプレかよ!?
 
 パーン!
 
 雁峰に、艦長の拳銃自決の音がこだました・・・
 
 次回予告 「大痛よ永遠に」
  「君にも取れる。国際C級ライセンス入門」 まえがき に戻るモータースポーツトップ に戻る
 
 
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