決号作戦に寄せて
在りし日の大痛 このカラーリングは、もう見れない…
<プロローグ>
諸事情(おもに不況)により、ラリー戦闘活動の休止を宣言していた大痛。
このまま長太新町に係留され、鳥糞にまみれながら土に還るのかと思われていた所、
思わぬ助け舟が出され、急遽出撃が決定した。
あの、強敵と書いてトモと呼ぶ、DART軍バニー氏が支援を受ける、樋口鍼灸院自動車部より、
軍資金支援の話が舞い込んだのだ。
もとより、サービス隊はじめ、朽ちていく大痛を無念に思う人は多く、
艦を降り、軍から離れ、ラノベ作家への道を模索していた艦長は、その思いを改め、
再び新城ラリーでひと暴れする事となったのである。
しかし、それは、簡単な道程であろうはずは無かった。
以下は、苦悩に満ちた、出撃前の艦長の家族へ宛てた手紙の引用である。
※以下の文章を読むにあたり、谷村新司の「群青」をBGMとして用意すると、
想像以上の感動を得る事が出来る。間違っても、あことりこ「ふたりのハニーボーイ」ではいけない。
家族へ
この度は、急な出撃となり、すまなく思うが、これも武人の定め。致し方無し。
思えばこの数週間、いろいろと気遣いすまなかった。
減量のためと、言い出したその日からの焼肉、美味しゅうございました。
明日朝からジョギングをと言い出した夜、撮りだめした韓国ドラマ「トンイ」を拝見し、
楽しゅうございました。
もちろん朝は起きれなかった事は言うまでもありません。
そもそも数ヶ月前の事故で被った体でも随分心配をかけ、ストレッチ強化のため、
ビリー隊長に取り組もうとした矢先の事、茶の間は全て「トンイ」と「イサン」になってしまいましたね。
そう、終盤には、「塚原ト伝」まで見てました。「鹿島の太刀にてお相手いたす」みたいな。
いささか脱線したので、復帰します。
家内へ。
今回の艦の装備は、これまでに無いくらい充実したのは既に聞いての通り。
しかし、世の中、前には後、光には影あり、というのは、鋼の錬金術師でも知られたとおりだ。
私の乗る艦は、日本一の戦艦、大痛から、三国一の痛車、「樋口姉妹号」になってしまった。
艦長と名乗るのも、きっとこれが最後となるだろう。いろいろと苦労をかけた。
娘達へ。
世の中、強く念ずれば必ずかなう、と、長年の友であるピーターパンも言っていた。
しかし、白黒の初音ミクが、フルカラーになればと思っていたら、二人のオリキャラに成長するとは、
父も想像だにしなかった。
次女よ、お前は、新カラーリングを見て、「この女の人がいなかったカッコイイと思うよ」と、
まわりの空気を一気にマイナス40度にするような暴言をしれっと吐いたね。
将来大きくなったときに、身に危険が及ばないように、今から空気を読む訓練をなさい。
長女と三女よ。
二人とも黙りこくってしまったが、父はよくわかっている。君達が近所で後ろ指をさされぬよう、
父はこの戦い以後、あの船で戻ることはないだろう。
それでもいつか、きっと噂話やyoutube、あまたネット社会で父の話を見聞きする事もあるに違いない。
だが、父を恥じてはいけない。父は、さらなる高みを目指すため、
今回の出撃と装備を受け入れたのだ。
もちろん不満もある。どうして、オリキャラはOKでも、セクシーポーズには自主規制がかかるのか、とか、
本当は宮藤芳〇ちゃんが良かったとか、いや、そうじゃない。
とにもかくにも、皆が応援してくれる時に戦ってこそ男なのだ。
おっと、もう出撃の時間が迫っている。
母の言うことを聞いて、あまり韓国ドラマばかり見ないで、塚原ト伝も見なさい。
では、御機嫌よう。
スタッフオン司令部 自室にて。
「君にも取れる。国際C級ライセンス入門」 まえがき に戻る
モータースポーツトップ に戻る
|